一般に、皮膚のうるおいは主に皮脂、天然保湿因子、角質細胞間脂質という3つの物質によって一定に保たれています。ドライスキンとは皮膚の乾燥した状態で、多くは季節、加齢、生活環境などの要素によって、皮膚への水分・皮脂の補給が低下したり、皮表からの水分の消失が増加し、角層が乾燥するために生じます。特に加齢に加え、乾燥した冬季においては、角層の水分保持能力がより低下し、一層症状は増悪します。乾燥および加齢はかゆみ閾値を低下させるため、温度・湿度の差、摩擦などごく軽度の刺激でかゆみを自覚します。かゆみが増強し掻破することによって、紅斑、丘疹、びらん、痂皮などを伴った皮脂欠乏性湿疹の状態になります。冬季は空気が乾燥するだけでなく、室内は暖房のかけすぎにより湿度が下がりすぎることがあります。また熱いお湯に入浴することなどにより、体があたたまり、かゆみが増します。
対策は、かゆみがほとんどない場合は白色ワセリンなどの保湿剤によるスキンケアのみで十分ですが、悪化し、かゆみを伴う場合は状況によりステロイドの外用や抗ヒスタミン薬の内服が必要となります。外用剤はできれば朝晩2回、特に入浴後は入浴前と比べて極度に皮膚が乾燥するので早めに(できれば15分以内に)外用することが大切です。また最も悪化させる要因は掻破ですが、入浴時にナイロンタオルなどでゴシゴシと強く洗うことは同様に悪化させるので禁物です。石鹸を良く泡立ててやさしく洗いましょう。汚れは十分に落ちます。